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パイオニアの事例から考えること

音響・映像機器メーカーの「パイオニア」が、改正産業活力再生法の適用を求め経営再建を目指すことになるとの記事が今週、日経新聞の一面を飾りました。これは、分かり易く言えば、業績不振に陥った大手企業が、その社会的影響等も考慮した上で、実質的に国からの資金(公的資金)を含めたサポートを得て、経営再建を目指そうとするものです。

 

パイオニアといえば、かつては音響分野の雄として私の世代でなくともそのブランドは誰もが知るところであり、圧倒的なものがありました。また、カーナビ市場をリードしてきた同社は現在も同市場で約30%のトップシェアを維持しています。さらに、プラズマディスプレイ技術による同社の薄型テレビはその画質の高さでも知られています。

 

そのパイオニアがなぜ・・・このような事態になってしまったのでしょうか?

 

パイオニアの原点である音響分野は、レコード→CD・MD→ハードディスク等へと大きく変化を遂げてきました。また、かつては高額商品であったカーナビゲーションシステムも、今や多数の企業や製品がしのぎを削る市場となり、技術革新の一方で低価格化の波は避けられません。
さらに、薄型テレビ市場に至っては、2011年の地デジ移行まで堅調な需要こそ期待できますが、かつて、1インチ1万円であった価格は、今や1インチ5千円も危うい状況となり、その低価格化の動きはとどまるところを知らない状況です。
パイオニアの薄型テレビの画質の良さや品質の高さは優れたものがあると関連業界の関係者からも聞いたことがあります。但し、市場の占有率は低く、生産効率・コスト面での競争力は、他社に大きく後れを取ってしまっている状況でした。これまでも、何度も他社との連携や提携の話が進んできましたが、結局自力での運営との狭間の中で効果的な戦略展開の決め手を欠いたまま今日に至ってしまったと言えます。つまり、自力での再生ができるチャンスはあったはず(?)なのに、残念ながら効果的な打ち手を繰り出す意思決定をできないままに時間だけが経過してしまった印象をぬぐえません。

 

このような状況から学ぶことができる点として、主に以下の3点があげられます。

 

①企業規模にかかわらず、環境変化を先取りする、あるいは、変化に対応する戦略をタイムリーに打ち出していけるかどうかが、一昔前と全く異なり、企業の成長と衰退とを分かつ生命線となっていること。

 

②自社の成長に必要な、最適な「事業ミックス(事業の組み合わせ)」を“全社の視点”でまさに戦略的に考えていくことができるかが、企業の成長の鍵を握る極めて重要なポイントであるということ。
その際、重要なのは、事業や商品群の成長性と自社の強みや弱みを客観的に検証し、場合によっては積極的な撤退や連携も不可欠な意思決定となること(メリハリを付けた事業ミックスを取ることにより、結果として、必 要な分野に必要な経営資源を重点的に配分していくことが可能となる)。

 

③せっかく「良い製品・商品・サービス」を持っていても、しっかりと「売ること・プロモーション」ができなければ、宝の持ち腐れ(もったいない状態)になってしまうということ。これは、私の行う経営コンサルティングの現場でもよく重要課題となるものです。

 

なお、付け加えれば、上記の要素を克服するための戦略や解決策が打ち出されたとしても、実際の“効果的な実行”が伴わなければ、結局は環境変化に対応できない会社になってしまうということです。

 

言うまでもなく、会社の現状の低迷状況等を不景気や業界規模の縮小等のせいにしていては、何も解決しません。
一方、こうした状況への打開策として、“ピンチはチャンス!”等と言われますが、これも、単なる標語や精神的なかけ声にとどまっていては、事実上の“経営の思考停止”を助長するだけで何も変化を生むことはありません。
会社が「過去から現在までの経営を否定する話ではないが、今後、このままで良いのか!?」という視点をしっかりと持ち、では今後「うちの会社は何屋になるのか!」といった自社の進むべき方向性をしっかりと見据え、独自性や成長のシナリオを明確に設定し、まさに実行の視点を持ってチャレンジングに進んでいくことが必要です。

 

ちなみに、パイオニアは1万人規模の人員削減を行いつつ、薄型テレビ事業からは撤退して、今後は車載器(カーナビ等)市場で、公的支援に加え自動車メーカーのホンダの支援を得ながらの生き残りを目指していく見通しのようです。

 

私は、業種や規模を問わず、日々、中小・中堅企業の戦略立案や実行の全面的なサポートやリードを行っていますが、上記に示したような点を考慮・検討しながら、日々経営者や社員の皆さんとともに必死になって考え取り組んでいます。

 

パイオニアについては、戦略やマネジメントに関心のある方は勉強にもなりますので、新聞等で今後の動向を注目してみてくださいね。

 

次回は、少し柔らかいテーマについて書きたいと思います!