タリーズコーヒーの「コン・アモーレ」
先日の土曜日の朝、最寄り駅近くでの用事が思いの外早く終了したため、駅近くのタリーズコーヒーに入りました。私はもともと大のコーヒー好きで、もっぱらブラックで何杯もという生活を長く続けていましたが、現在は、健康のためにも、あえて極力一日2杯程度に抑え、かつ、カフェラテや紅茶を組み合わせるようにしています。
店内で注文していたら、以前読んだ松田公太氏(タリーズコーヒージャパンの創業者)の「仕事は5年で辞めなさい」という本を思い出しました。
タリーズでは、常にお客様に対して心を込めてコーヒーを出す、感謝の気持ちを持って接客するために、レジで顧客からオーダーを受けたスタッフがバリスタにその内容を伝達する際、必ず商品の前に「コン・アモーレ(愛を込めて)」もしくは「コン・パッショーネ(情熱を込めて)」(=共にイタリア語)という言葉を添えて伝達するといいます。創業者の松田公太氏は既に同社を去ってしまいましたが、現在でもその流れは続いているのか・・・とふと思い、注意してスタッフの方のやりとりを聞いていました。
すると、私のホットのカフェラテのオーダーに対し「コン・アモーレ、ショートラテ・・・」うん、確かに言っている、確認しました。それと、もう一つ、タリーズのバリスタは、店内がどんなに忙しいときにも注文した顧客の顔を見る(提供するお客様の顔を見て心を込めて作る)とのこと、これも、やっている・・・確認しました。「なるほど・・・」と思いながら席へ。
タリーズの顧客に対するホスピタリティ(※“おもてなし”と一般に訳します。一般に使う“サービス”より顧客に接近したやや上質な概念として主にサービス業等で使われます)精神は、創業時から今も続いているように感じました(もちろん、私はあくまで顧客目線でみた話をしていますので、タリーズの社内のことはわからないところはありますが)。
こうした取組や精神は、一般に会社の「組織風土」という形で会社の様々な取組に影響を与えることになります。「組織風土」というものは、良くも悪くも一度定着するとなかなか変わりにくく、変化させていくには、少なからず、いや、多くの場合多大な労力と一定の時間を必要とします。タリーズのような、こうした顧客への感謝の気持ちを社員が理解した上で、独自の言葉で表現していくといったようなことは、一つの会社の特徴を形作る「組織風土」となり、将来に向かった会社の成長に大きな役割を担う(担ってきた)ことになります。
「組織風土」を変革したい場合、会社は、将来に向かった明確な「ビジョン(会社の将来のありたい姿)」を分かり易く具体的に設定し、それを社員が本当の意味で共有し、そのビジョン実現のための取組を具体的な戦略とともに会社一丸となって展開していくことが第一歩となります。
もちろん、「ビジョン」「理念」を単に、朝礼等で意味も考えずに、ただ、やらされ的に惰性で唱和しているだけでは、風土改革はおろか、残念ながら時間の無駄となってしまいますが・・・。
そして、次に大事なことは、上記のようなビジョンや戦略の策定と計画的な実行に加え、その必要な成果や業績や行動にマッチした「評価軸=頑張った度合いを測定するモノサシ」を作り運用することです。せっかく効果的な打ち手を講じてもそれがやりっ放しになってしまったり、かけ声だけに終わってしまえば、社員の行動は変わりません(つまり、組織風土も変わらないということです)。
そこで、本当に変えたい、社員にとってほしい行動があるなら(つまり、変革したい風土の方向性があるなら)、その行動をとることが「価値」つまり、その行動をとれば評価される、ということまで徹底していくことがとても大事になってきます。
ちなみに、弊社では、こうした「風土革新」の視点を最大限に考慮しつつ、会社の成長と社員の成長をサポートしています。
もちろん、「コン・アモーレ 経営コンサルティング」で!