THE 与信管理
1月、2月、3月よりも更に早く感じた4月があっという間に過ぎ去って、世間はゴールデンウィークですね。
年度初めで新入社員や新入学生を迎えたせいか、都内は早朝の電車でも4月に入ってからかなり込み合っている印象があります。
経営コンサルティング活動は、関わっている各社の決算月はマチマチですので、特に3月4月だから特別に繁忙というわけではなく、いつも通りの充実の繁忙(^^)活動を続けていました。
研修は、募集・集客を考えると、年度初めの4月は本来少ない開催のはずなのですが、個人的には、例年通り 複数のコース(計6日間)※に対応した月になりました。
※中小企業大学校 東京校の 経営後継者コース(2日間)、営業管理のマネジメント講座(2日間)、中小企業診断士養成課程(2日間)
21日~22日実施した「営業管理者のマネジメント講座」では、
「世の中には、必ず 売れる会社と売れない会社がある。どうしてなのか?」
「あなた(あなたの会社)は、『得意先からの、どうしてあなたの会社から買わないといけないのですか』という質問に明確に答えることができますか?」
といった問題提起をしつつ、約40人の受講者の皆さんと計14時間、営業マネージャーが押さえておいてほしい営業活動やマーケティング活動の考え方や実践方法について展開していきました。
2日目後半の半日は、普段なかなか学ぶ機会もないと思われる「与信管理」のイロハや実践のポイントについての内容も織り込み、知識のインプットにケース演習も交えてしっかり学んでいただきました。
与信管理は、「売る」活動と切り離せない「売る前から売るとき、そして売った後の回収までの一連の」の活動になるわけですが、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」的なテーマと言えます。
でも、皆さん、知っていますか?
統計的に言われる「会社の寿命・生存率」 について。
設立された会社が、
3年後に生き残っている確率 ⇒ 65%
5年後に生き残っている確率 ⇒ 15%
10年後に生き残っている確率 ⇒ 6.3%
30年後に生き残っている確率 ⇒ 0.025%
驚きの数値ですよね?
10年間生きられる会社はたった6%程度、つまり100社あれば94社は10年以内になくなってしまうということです(だから、逆に言えば、設立 数十年の会社って、すごいことなのです)。
でも我々は既存の得意先とつきあう場合、相手が倒産するなんて考えながら取引は通常しないですよね。
でもここに、与信管理の怖さが潜んでいるわけです。どんな会社でも例外なく営業は「売りたい」わけで。
ですので、我々は、気持ちのどこかで「会社は残念ながら潰れるものなのだ」と認識しておくことが大事だと思います。そう思っておくだけでも見方や認識が変わると思います。
そんなことを気にしていたら商売なんてできないと思う方も多いと思いますが、でも、売ったお金が返ってこなければ、回収できなければ、何の意味もなくなってしまうのですから。
やはり、知識や実践について知っておくに超したことはないと思うのです。
もう一つ。
近年の倒産の状況で言えば
「倒産件数は減っているが、突然の得意先倒産リスクは過去最高レベルに高まっている」と言えます。
倒産件数は、ピーク時(2001年: 19,565件)の半分以下(2015年: 8,684件)になっています。でも、これで安心と思ってはいけません。
この倒産件数の中で、
法的倒産(再建型:会社更生法、民事再生法、消滅型:破産、特別清算)比率は、
2001年:27.2%(5,207件) ⇒ 2015年:88.3%(7,676件)。
つまり、実は倒産件数自体は減っているのですが、法的倒産比率・法的倒産件数自体は、年々増え続けています。
私的倒産(銀行取引停止処分等)の場合、ギブアップになる前の段階で兆候を察知したり対応を講じることができたりします(勿論限界はあります)が、法的倒産の場合、ギブアップまでの余力を残してあえて倒産申し立てを行う可能性があるのです。
特に2000年からスタートした民事再生法は、手続き的にも簡単になり、比較的短期間で債権を整理(切り捨てて)現在の経営陣で出直すことができる可能性もある(実際は簡単ではなく、債権者の承認が得られないと破産手続きに移行するのですが)ので、つまり、計画的に倒産が起きる「突然の、えーっ!」があるのです。
もともと、私にとって「実践的な与信管理の考え方と実施方法」は十八番(おはこ)のテーマですが、中小企業大学校で与信管理について講義をするのは、14年間講義を担当してきて今回が初めてでした。
そういう意味では、私自身も、久しぶりに「与信管理」を改めておさらいし、最新の情報と取組について確認しつつ、新たな視点を付加しながら、受講者の皆さんに馴染んでもらえるようにお話しをする貴重な時間になりました。