会社と社員の成長を支える、経営コンサルタントとして
この度、拙著、「成長企業の戦略・組織・人材」(あさ出版)が 増刷、3刷 となります。
本書の前身となる「成長したい企業のための戦略・組織・人材」を出版したのが2007年、本書を2010年秋に刊行して以来、多くの方々に手にとって頂き読んで頂いたおかげだと感謝しております。ありがとうございます。
最近は書店で見かけることが少なくなってしまったのは残念ですが、研修やセミナー等で教材として使用したり、Amazon等のネット店舗で入手頂いたりする中で、経営活動の参考にして頂いたり、経営支援者の参考書として活用してもらったり、現場での経営革新の取組等に活かして頂いている話を聞くと うれしくなります。
「会社の成長と社員の成長を同時に実現していける会社」=「いい会社」になるために「会社が行うべき経営戦略から組織作り、そして人事制度の構築を含めた人材戦略につながる流れを 実践的な視点で考え方と共に具体的に記載していますので、良かったら是非ご一読を!
本書のベースは、経営コンサルタントとして私が関わる様々な現場での経験と知識を融合した実践に基づいた内容になります。
今回はその様子を少しご紹介しておきたいと思います。
私が関わる会社は、全国各地の中小企業です(サポートエリアに制限はありません)。社員数は30人前後から多ければ数百人。業種は製造業から卸売業、小売・サービス業まで様々で、どんな業種の会社でも関わることができるというところにも弊社の独自のノウハウがあります。
関わる会社の業績は売上も利益もシッカリ出ていて「俗に言う いい会社」もあれば、業績はまずまずですが、今後については不安材料がある会社もあります。一方、赤字が続き経営が厳しく、時には、債務超過だったり銀行への借入金の返済ができずに困っている会社の抜本的な再生・再建を手がけることも少なくありません。
今回は、業績の厳しい会社での取組例を一つ、
今から数年前。ある食品会社(製造業)の再生を手がけた時の話です。
仕出しや弁当をある地方で製造販売している食品会社。売上高は19億円ほどで経年の変化はほとんどなく、一方で6年連続で営業赤字 40百万円~50百万円、経常利益も6年連続で60百円程度の赤字。そしてついに債務超過に。取引銀行への借入金の返済は滞ったままで、会社存続の危機に瀕している状況でした。
その会社は、取組みを始めてから約1年後に、上記の売上高が21億円に、営業利益が8百万円の黒字、経常利益は△8百万円に回復。
2年後には、売上高が23億円に、営業利益が20百万円の黒字、経常利益も8百万円の黒字となりました。いわゆるV字回復です。それと共に銀行への借入金返済も再開しました。
私は、その会社に月に2回程度訪問(私が関わる他の会社と同じように)しながら、経営層・社員の皆さんと様々な取組を展開していきました。
一般にこの手の再生は、徹底した経費削減と従業員の解雇等の人員整理と共に行われることが多いですが、私の行う再生は、いわゆる経費削減は行わず、また、その会社の従業員を一人も実質の解雇や整理することなく実施します。
取組の根幹に置いたのは、経営者・社員をいかに元気にさせるか、下を向いている社員を再生への取組に巻き込むかです。良い流れをつくるための取組を徹底して行います。
具体的な取組は、会社の中期経営戦略策定、営業活動の徹底した見直し、自社運営するホールの集客力・稼働率向上策、商品ラインアップ全面整理・見直し、商品の価格・プライスラインを含めた見直し、チラシやカタログも含めた変更、直営店舗の改革、工場の生産工程の見直し、材料購買の改革、等々多岐にわたりました。
上記の取組のために、複数の社内にプロジェクトチームを組成し、様々なメンバーを巻き込みながら手をつけていきました。ここには書き切れないことも含めてかなり大変でしたが・・・。
上記の取組の核に置いたのが、まさに「人」です。
結局、いくら目の前の固定費を削減しても、人(社員)が元気にならなければ会社の本当の成長はないのです。一般に、再生となるとどうしても短期的な目線で、目の前の固定費削減に終始することが多いのですが、長続きしないで疲弊していく事例も少なくありません。
ですので、短期的な取組と中長期的な取組をセットで体系的に行って行くのが私のスタンスです。まさに、「ゆっくり早く」。
こうした取組や考え方でかねてから様々な会社で実践してきているのですが、この厳しい会社のケースでも例外ではなく、それを私自身も、身をもって確認できる貴重な機会になりました。
どんな取組も、そこには人がいて、その人(社員)がどのように会社の成長に関わるかがカギになります。
かねてからこのコラムでも繰り返しお伝えしている「会社と社員の成長」のために・・・
人(社員)の仕事のやり甲斐や実感(「うちの会社で働いていて良かった。お客様に喜んでいただいて良かった」)をどうつくっていくか、それを会社の成長(中長期的な業績の維持・向上)にどのように活かしていくべきか、両者をセットで考え、業種や規模や業績の状況に関わらず、これからも大胆にそして着実に取り組んでいきたいと思っています。
上記の書籍は、そんな各所での奮闘の取組の中から生まれてきた1冊と思って頂けますと幸いです。
「成長企業の戦略・組織・人材」 植田 正樹(あさ出版)
AmazonのURL
http://www.amazon.co.jp/dp/4860634209