終わりは始まり
先日
小学生の子供が数年にわたって続けてきた習い事をやめることになり、1月最後の教室の日に先生にお礼の挨拶に行ってきました(家内が)。
にこやかに先生とお別れをしてきたという話を聞き、思いました。
私たちはこれまでの人生で「たくさんの何かを始め」取り組み、そして同時に「たくさんの何かを終わりにしてきた」と思います。
始めたことがうまく進み何らかの成果や区切りを持って終了したり、うまく行っているかは別として頑張って継続していることもあるでしょう。
その一方、
道半ばでやめたり、あきらめたり、何となく終わりになってしまったり、中には自分の意思に反してやめざるを得なかったりすることもあるのではないかと思います。
始める時は新たな出会いがあったり、緊張感や不安やワクワク感があったり・・・。でも、終わる時は、一抹の淋しさや後悔や、感動や感謝や、場合によってはスッキリと・・・なんてこともあるかもしれませんね。
私自身もこれまでの人生の中でたくさんの「始まりと終わり」を経験してきました。
やめるというか終わる時で強く記憶に残っているのは、
30代前半、約10年勤めてきた銀行を退職することを心に決め、経営コンサルティング業界への転職活動を進めていた時のことです。
銀行での仕事が多忙の中で転職活動を始めたことも含めて、多数の大手の転職エージェントからは全くと言っていいほど相手にもされず(苦笑)、なかなか思うように進まない焦りの中にいた私は、日曜日の日経新聞の就職情報紙面の片隅に小さく掲載されていた小さな転職エージェント会社に業務後の夜10時半過ぎに(今考えればかなり非常識ですが、必死でした)伺う約束をとりつけました。
こうして伺ったその日が、私の転職活動の転機になりました。
翌日から、経営コンサルファームや、大手シンクタンクの経営コンサルタント採用に向けた面接の紹介がそのエージェントの担当の方から次々に入ってきたのです。
おかげで、
私は、富士総合研究所(現・みずほ総合研究所)に経営コンサルタントとして入社の内定をもらうに至りました。
入社日程も決まった私は、決して綺麗とは言えない雑居ビルの一室にあるお世話になったエージェント会社に菓子折を持ってお礼の挨拶に伺いました。
担当頂いたベテランのスタッフの方からその時言われた言葉を今も忘れることなく鮮明に覚えています。
「植田さんは、今回200人近い応募があった中から選ばれた一人らしいですよ。本当に良かったですね」
「でもそれより、私はこれまでたくさんの人の転職サポートをしてきましたが、あなたのように転職が決まってこうしてわざわざお礼に出向いて来られる方なんてまずいませんよ(その事実自体私は驚きましたが・・・)。こういう気持ちをこれからも持たれていれば植田さんはきっとこれから成功しますよ」
社交辞令半分かとも思いつつも、ありがたく受け止めました。
確かに彼らは、基本的には私に合った情報を提供してくれただけかもしれません。
でも、あの日あの新聞の記事を見ていなかったら・・・。そして、時間外の深夜にオフィスに伺うことを許してもらい、話を聴いてもらったことがスタートになり、事実上、その日を境にそれまで動いていなかった私の転職活動が一気に始まったわけですから。
本当に感謝以外なかったのです。
あれからもう15年近い歳月が過ぎましたが、その間幾度となく当時の言葉や情景を思い出します。
何かを始めるために、これまでの何かをやめることもあるでしょう。
同時に、終わりは始まりでもあるわけで。
だとすれば、始まりだけでなく終わりにもしっかりと向き合うことが大事なのだと思います。
関わってきた人がいれば感謝の思いを行動で相手に示し、自分自身にも改めて問いかけることが、次の出発をまた大事な何かにすることに繋がるのかもしれませんね。
1月が終わり、2月が始まりますね・・・
私自身は、来週46歳が終わり、47歳の始まりを迎えます。