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心の光景

先週の中小企業大学校 関西校の3日間の研修の初日の話です。
講義の冒頭、イントロの話等から自己紹介も終わった頃、何名かの受講者が交通事情等の関係もあり、少し遅れて教室に入ってきました。

 

そこで、彼らの準備等の兼ね合いや、間合いをとる意味も含め「昨夜、私も雪の影響で東京からの新幹線が遅れて・・・」等と話しながら、ふと、「ちなみに私、生まれは、兵庫県の西宮なんです。10歳の頃まで住んでいて、その後東京に・・・」等と話した途端に、教室の空気が変わった気がしました。明らかに。
まだ、講義を開始して間もないこともあり、やや堅さの残る受講者たちの、ちょっとした驚きと、共感にも似た雰囲気と共に・・・。

 

関西校ではもうかれこれ10年近く様々なコースの研修で講義やゼミナール等を担当してきましたが、自己紹介の段階で、私が関西生まれであるという話は、あえて意識して話したこともあれば、逆に特に意識せずにしなかったことも多々ありました。

 

でも、今回、やはり、初対面の相手(受講者)との共通項となる話は「話し手としての基本に忠実に・・・?」行うべきだと、改めて思いました。コミュニケーション上も大事なポイントですよね。

 

もちろん、
今回の受講者の所属企業は、関西エリアだけでなく、四国・北陸・九州・中国地方等 幅広く様々な県でした。
でも、教室の半数以上が関西圏の企業からの参加者であるということも含めて、やはり、東京から来た初対面の講師が実は幼少の頃までとはいえ自分たちと身近なところ(関西)に住んでいたという事実は、ある種の共感を持って受け止めてもらった可能性はあったと思いました。

 

ちなみに
私はこれまで「出身地は?」と聞かれると、やや戸惑うことがありました。
出身地という定義が今ひとつはっきりしないこともあり、「生まれは兵庫県の西宮というところで、小学校の途中までは…その後は基本的にずっと東京で…」等と答えていました。

 

実際、兵庫県の阪急電鉄の、西宮北口駅から徒歩圏にある高木東町で約9年間過ごし高木小学校に3年生の終了まで通い、父の転勤で東京に転居して以来、基本的には東京をベースに、これまでの人生の大半を過ごしてきました(社会人の一定期間、静岡・埼玉にも住んでいたことはありますが)。
ただ、出身地はどこというべきなのかは、個人的には何となく整理できないまま・・・歳を重ねてきました。

 

でも、今も、西宮にいた頃の小学校からの付き合いになる大阪在住の友人にも年に何回かは会いますし、やはり私にとっての関西は(もう形になるものはなにもありませんが)やはり生まれ故郷です。

 

忘れられないのは、
阪神淡路大震災から何年かたったある春の日、家内と当時まだよちよちあるきだった1歳の息子と共に、「西宮北口」の地を訪れた時でした。

 

震災被害が特にひどかった場所のひとつと言われる同地駅周辺は再開発予定でしたが、整備はこれからで、かつて私が住んでいた周辺の家々は、震災で倒壊したのか、跡形なく取り壊されていました。
でも、そこは、間違いなく私が幼少期を過ごした面影の残る場所でした。その道を、まだ幼ない息子が歩き回る姿を見て、当時の自分を見ているかのように懐かしく、たぶんここに来るのは最後かもしれない、と感傷的な気持ちになったことを、思い出しました・・・。
あの日の光景とともに。

 

誰しも、人生の中で忘れられない時間や場所や光景がありますよね。

 

ところで、
冒頭の研修の話に戻ると、初日の講義終了後の受講者交流会では、各会社での悩み等の相談と併せて、何人かの方から、「先生は西宮北口だったのですね」「駅前はタワービルが建ってすっかり変わりましたよ」といった話も含め盛り上がりました。

 

もちろん、だからと言うわけではありませんが、研修も盛り上がり、おかげさまで充実した形で終わりました。

 

このコラムを今日の日帰り出張の移動中に書きながら・・・、
今日の関東地方は、やや春めいた天気と共に私の気持ちも、心なしかいつもより温かさを感じた一日でした。