個の力を上げて チームとしての力で勝ち取るもの
娘の所属する 東京 練馬区の公立の中学校の卓球部の女子団体チーム(6人)が、今、都内の中学女子卓球界ではかなり知られた存在になっています。
この春に3年生になった彼女たちの代は 入学した時から6人の部員しかおらず、ひとつ上の代は1人で、ひとつ下の代は入部者ゼロ・・・。
つまり 彼女たちが2年生の昨年秋からは、1人の補欠はおろか欠場者も出せない状況の中、この6人で団体戦(団体戦はシングルス4人、ダブルス2人で編成)を戦っています。
昨年末(2年生の秋)から始まった団体戦では、練馬区大会を優勝。続く都大会では3位(スーパーシード2校を除くトーナメント戦では優勝)となり、学校開校以来 運動部で初となる関東大会出場を果たしました。
野球で言えば、補欠なしの9人ギリギリで 都道府県予選を勝ち上がり甲子園に出るようなイメージでしょうか。
最終学年となった6人の団体戦メンバーは、先月5月の区大会を再び優勝で勝ち抜き、先日の都大会ではベスト4 となりました。
ダブルスでは、練馬区内の都大会出場枠 4枠(2人×4チーム=8人)の内 3枠(2人×3チーム=6人)をこの6人で占めて全員が都大会に進み、都大会では 3チーム(6人)全てがベスト16に。
でも、彼女たち6人は、シングルス(個人戦)では、まだ一人も 都大会には行けていません。
小学校時代の卓球経験者はゼロで、いずれのメンバーも、中学に入って何気なく入った(はず?)競技歴はまだ2年の選手達です。
そんな彼女たちが、彼らの運動能力+毎日の朝練+ほとんどの土日が練習試合に費やされる等 激しい練習(努力)によって大きく成長してきていることは確かです。
ただ、何よりの成長要因は、彼女たちをここまで育ててきた顧問の先生※の指導力に尽きるのだと思います。
※本人も学生時代まで選手として活躍し かつて国体の茨城県 代表監督を務めた経験を持つ 現在は彼女たちの学年の担任でもある理科の先生です。
いわゆる 勝ち上がる強いチームによくある絶対的なエースはいないですが、一定以上の粒の揃ったチームの一体感は抜群です。個人で強い選手を抱える私立や部員数の多い中学にもひけをとらない6人の組織の強さを、観戦していて感じます。
顧問の先生の指導の厳しさはかなりのものですし、6人しかいない女子部員全員が怪我や病気等で一人でも欠けると団体戦の出場自体ができなくなる状況下、
試合で見る彼女たちは、まさに、のびのびと戦っていて、楽しそうで、仲が良く、互いの長所・短所を知っていて、そして、そうした中で、個人の力も引き続き向上させながら、チームとして成長を続けています。
飛び抜けた1人の個人の力があれば 更に上を目指せるのかもしれません。でも1人だけ強くても、いや5人が強くても、逆にあとの1人がブレーキで穴があれば、やはり団体戦は勝てません。
個々の飛び抜けたスペシャルではなくても、1人ひとりの 全員のレベルを一定以上に高め、能力やスキルを一定以上に向上させていき、そして、チーム力という形で組織の力にする。これを実践しているのです。6人がトータルで勝ちきれないと団体戦の勝利はないのですから。
これは実はとても大変なことなのだと感じます。そのことは、上記の6人全員がダブルス(3チーム)で全て都大会ベスト16に入っている結果からもわかります。
会社の成長と社員の成長にも全く同じことが言えるのではないかと思います。
上記の6人と同様で、会社には、本来 補欠のメンバーなどいません。雇用形態にかかわらず、1人ひとりが欠かせない選手として、役割を担い、活躍しているはずです。
社員 1人ひとりの能力やスキルは高いに越したことはありませんが、1人ひとりの能力の水準をできるだけ高めていく努力を会社として怠ることなく行い、日々実践することが不可欠です。
そして、その個々の力を、部門・部署の業績の向上という形に結集させ、会社の成長を実現していく。
成長した会社のメンバーが次のメンバーを育てていき、育成の連鎖を作っていく(上記の中学では、後輩がいないのが本当に残念ですが)。
経営資源の乏しい中小企業※であっても、目指すべきゴール(ビジョン)を明確にして、そこに進んでいくための戦略(卓球で言えばゲームプランやチーム編成や戦術等)をしっかりと組み立て、社員1人ひとりの能力向上を個人の成果やチームの業績と連動させていくことは、十分できるはずです。
※体育館が常時使える訳ではない卓球部は 日々の練習場所の多くを、校舎をつなぐ狭い渡り廊下や教室等で行っています。
私は、彼女たちの活躍にワクワクし、仕事の合間を縫って観戦に行く会場では個人的にとても楽しい時間をもらっています。その時間もあと残りわずか・・・。
7月には全国大会につながる区大会→都大会が行われ、8月には関東大会と続いていきますが、どこかで負ければそこで終了。3年生の彼女たちは引退です。
一試合でも多く彼女たちの成長・活躍を応援できれば、と思う、これは、全くの親としての願いです、笑。