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「ゆっくり、早く」

皆さんは、例えば以下の項目にいくつ該当しますか?
・普段歩くのは早いほうだ
・エスカレーターでは通常 空いている右側(関西では左側)を歩いて上り下りする
・車を運転するときは、早く進むために車線変更をするほうだ
・食事を食べるのは、どちらかといえば人より早いほうだ
・何かを買うとき等で行列に並ぶのは嫌いな方だ

 

もちろん、行列に並ぶのを好む人はあまりいないでしょうし、一般的に疲れていれば(疲れていなくても)、エスカレーターに自動的に運んでもらうことに身を任せるでしょう。
でも、こんなに並んでまで・・・と思うのは私です。出張等で重いキャスター付きのバッグを転がしながら歩いていても、よほど疲れていない限り、駅や空港等のエスカレーターをキャスター付きのバッグを持って足早に歩いて昇降しているのも私です。
ましてや羽田空港等にある「歩く歩道」で立ったまま移動することは100%ありません。

 

経営コンサルティングや講義等(仕事上)の行動パターンとは別に、私の日常行動は「ゆっくり」ではないのかもしれません。

 

ただ、最近、食事は時間の許す限り、努めてゆっくりと食べるように心がけています。
方法は、食事前に水を飲むこと、野菜から食べ始めること(これは血糖値上昇を抑制するのに効果的なようです)、よく噛んで(目標30回)食べることです。この3つを実践することがゆっくり食べることにつながり、そして結果的に食べる量が減ることになります(by NHKためしてガッテン他)。
最近特に代謝が落ちてきて、ウエイト(ウエスト?)コントロールが難しくなったなぁと実感していましたので、チャレンジしています。すると、2週間ほどで、少し体重も落ちてきました。
別にダイエットとかそういう感覚でなく取り組めるところがよい感じです。

 

もうひとつ、仕事に関して、私が心がけていることは、できるだけ「声のトーンを少しだけ落としてゆっくりと話すこと」です。これは、もともと、やや早口のくせがある私が、自分の行動の中で心がけている数少ない「ゆっくり」の一つかもしれません。

 

仕事をしている人は、交感神経(活動モードの自律神経)が、副交感神経(リラックスモードの自律神経)に比べて、相対的に優位に働き易いといわれています。そのスイッチは、一日の中でも時間や環境等で切り替わる(朝は「交感神経」優位、夕方から夜にかけては「副交感神経」優位になる)のですが、昨今の働く人々は、このスイッチが、生活習慣やストレス等も含めて、うまく切り変わらない人が増えているようです。
つまり、常に緊張状態(交感神経優位)のスイッチがリラックス状態(副交感神経優位)に切り替わらないことから、それが免疫力の低下による病気を引き起こしたり、結果として健康で長寿を迎えることを阻害する要因にもなるようなのです。

 

交感神経が優位になる(活発化する)とき、人は、無意識のうちに呼吸が浅くなり、血液の流れも悪くなります。典型的な症状は、肩こりや目の疲れや頭痛・・・といった日常に転がっている症状とも無縁でないかもしれませんね。バリバリ働く上で、交感神経の働きは大事ですが、いわゆる戦闘モード、一種の緊張状態がずーっと続けば、そして、副交感神経へのスイッチの切り替えがうまくいかなければ、疲れがとれず、疲れが蓄積していき・・・老化が進みやすくなるというのです。

 

確かに、そう言われてみると、PCに向かって集中しているとき、呼吸は明らかに浅くなっています。そして、高速道路で自動車を運転しているとき等も、呼吸は浅くなっていることに気づきました。意識してみると、仕事のみならず日中の日常のあらゆる場面で、冒頭に書いたような「早い」動きを続ける習慣を含めて、気がつけば、常に何かに急ぎ、交感神経を刺激し続けている状態に自らを置いていることが多いような気がします。

 

そんなとき、意識的に呼吸をゆっくり(特に吐く息の長さを吸う息の長さの倍以上に)すると、気持ちがリラックスしてスッキリする気がします。副交感神経のスイッチが入り、体の中の血が動き出すような、そんな気さえするのです。
「ゆっくり深い呼吸」が副交感神経の働きを活性化させ、緊張状態や戦闘状態(仕事モード)での「余裕」と「パフォーマンスの向上」をもたらすことにつながるようです。

 

今回のコラムは、最近読んだ「なぜ「これ」は健康にいいのか?~副交感神経が人生の質を決める(小林弘幸 著)」から、とても貴重な知識と気づきを得たことで書き始めました。

 

著者の小林先生(医師)は、最近テレビでもよく見かけますが、自律神経研究の第一人者といわれる人らしいです。上記の本も、一見当たり前のようなことが書いてある感じがするかもしれませんが、間違いなく交感神経優位の生活を送っていると感じる(笑)私にとっては、多くの気づきを与えてくれた本でした。気軽に読めるお勧めの1冊です。

 

この本には、自律神経のバランスを保つこと、そのための、仕事モードにおける「ゆっくり、早く」動くことの徳が書かれています。「ゆっくり、早く」とは、適度な「緊張」と「余裕」のバランスをとって行動することだと思います。この一見矛盾する言葉が、ここ一番で最大限のパフォーマンスを実現する上でも、健康な心身をつくり生活をしていく上でも大事だと感じました。
そしてその行動を支えるのが、これも繰り返し書かれていた「呼吸」でした。

 

緊張していたり、焦っていたりするとき、あるいは、仕事にグッと集中している時も、ちょっと手を休め、是非「ゆっくり、早く」と心の中で、そして「深い呼吸」をして、かつ「まわりを見る「余裕」をもってみませんか?

 

何かが、変わるかも・・・です(^_^)